手軽にコンプレックスを解消したり、美しい顔立ちに整えたり、加齢によって衰えた部分をふっくらとさせて若々しく見せることができるヒアルロン酸注入は、短時間に注射するだけの手軽さと、ダウンタイムの少なさ、注入直後からすぐに顔の印象が変わる即効性で、美容整形のなかでも特に人気の高い施術です。
そのためほとんどの美容クリニックがヒアルロン酸注入を行っていますが、どのクリニックで受けても同じ仕上がりになるかというとそうではなく、医師の技量によって仕上がりが左右される施術でもあります。
近年「ヒアルロン酸で顔がパンパンになった」「不自然な顔になってしまった」と言う患者さんの声を、インターネットやSNS上などでよく見かけるようになりました。
このコラムでは、なぜヒアルロン酸の入れすぎが起こってしまうのか、また不自然な顔立ちにならないようにできることは何か、などを医師が解説します。
ヒアルロン酸注入の適応部位は?
ヒアルロン酸注入は大きく「顔立ちを変える」プチ整形の一種としての施術と、「肌に潤いや弾力を与える/取り戻す」スキンケア的な施術の2方向に分かれます。
“ヒアルロン酸で顔がパンパンになる”状態は、主に顔のシワやくぼみなどの部分にヒアルロン酸を注入して埋めるプチ整形の施術の際に起こりがちです。そのようなトラブルが起こりやすい注入部位は以下になります。
ほうれい線/ゴルゴライン
ほうれい線やゴルゴラインと呼ばれるシワは、加齢によって肌弾力のもととなるコラーゲンやヒアルロン酸などの成分が減少してハリが失われ、顔の脂肪もボリュームを失い、さらに骨が萎縮して皮膚がたるむことなどで表れます。
目の上や目の下のくぼみ
やはり加齢で顕著に表れるたるみの一種に目のくぼみがあります。眼球を収めている眼窩(がんか)部分の骨格が年齢とともに痩せて広がったり、眼輪筋が緩んだりすることで上まぶたがくぼんだり、脂肪や皮膚組織などが重力によって下垂し、目の下の皮膚の表面にくぼみが生じたります。
おでこのシワ、おでこのへこみ・くぼみ
加齢に伴って、顔の脂肪が減少することや骨が萎縮することにより、額(おでこ)が平坦になりやくすくなるほか、紫外線や乾燥による肌ダメージの積み重ね、加齢による皮膚のたるみ、目を見開くなどの表情グセが原因で横ジワも目立ってくるようになります。
また、上記のような症状を改善するエイジングケア目的でなく、額にボリュームや丸みを出すことで、 おでこの形を改善したり小顔効果を狙う施術も人気です。
いずれもシワやくぼみ部分にヒアルロン酸を注入したり、減少してしまった顔のボリュームをヒアルロン酸で補うことでシワやたるみを目立たなくすることができますが、注入しすぎると、膨らみすぎて不自然な顔になったり、「顔パンパン」で失敗したと思うような状態になってしまいます。
ヒアルロン酸注入効果のメリットとデメリット
美容施術に用いられるヒアルロン酸はもともと体内に元々存在する成分であり、高い保水力を保持する力を備えています。日本では、1990年代から美容医療分野で使用されるようになり、美容目的以外では、ひざや肩の関節痛の緩和目的で使用されています。
ヒアルロン酸注入のメリット
他の施術に比べてヒアルロン酸注入は短時間で済むため、気軽に受けやすいというメリットがあります。
また、ヒアルロン酸注入では注射を使用するため皮膚を切らず、麻酔クリームなどで痛みを最小限にコントロールすることが可能で、ダウンタイムもほとんどありません。ほうれい線、ゴルゴライン、額、目の下、唇、あご、手背など、さまざまな部位に注入が可能で、注入後すぐに効果を実感できることも大きなメリットです。保水機能があるため、施術後には肌のハリ回復や保湿効果も同時に得られます。
さらに、「顔がパンパンになった」「目の下がボコボコになった」「目の下にチンダル現象(皮膚が青白く透けて見える現象)が起こった」「膨らみすぎた」などの失敗や、注入後に仕上がりが気に入らなかった場合には、効果を元に戻す方法もあります。
ヒアルロン酸注入のデメリット
ヒアルロン酸注入のデメリットは、効果が一時的であるということです。仕上がりが気に入ったとしても数カ月〜1年程度で体内で分解・吸収されてしまいます。効果を持続させるためには、定期的に注入を繰り返す必要があり、その都度費用が発生します。
また副作用として、腫れ、赤み、痛み、かゆみ、アレルギーなどの反応が出ることがあるほか、注入したヒアルロン酸を体が異物と認識してしまい、異物反応で被膜を形成し、シストと呼ばれるしこりが生じる場合があります。まれなケースとしてヒアルロン酸が血管内に入ることで血管閉塞や血流障害が起こり、周辺の組織が壊死したり、失明したりする場合もあります。大きな副作用が出た場合は、ヒアルロン酸を分解する処置が行われることもあります。
未熟な医師が注入することで仕上がりに差が出たり、違和感が出ることもデメリットのひとつです。
ヒアルロン酸注入で顔がパンパンになったり、不自然になったりする原因とは?
ヒアルロン酸の入れすぎで顔がパンパンになった、失敗したと感じる原因は以下のようなことが背景にあると考えられます。
患者さんの思い込みによる注入量の増大でヒアル顔になる
顔がパンパンになってしまう理由のひとつは、患者さまの思い込みによって注入量が多くなることです。自分の理想のイメージと違ったり、打ち続けると物足りなく感じたりすることで、“もっと入れて欲しい”と希望して、いわゆる「ヒアル顔」になってしまいます。
深いシワやたるみの治療ではれぼったい顔になる
深いシワや大きいたるみを解消するために、多量にヒアルロン酸を注入すると、膨らみすぎて不自然な、はれぼったい印象の顔になる場合があります。
クリニックが設定した注入量が多く、不自然な仕上がりになる
他院の例となりますが、最初から「10ccがいいですよ」と量を決めて注入するクリニックも存在します。不要な部位にまで注入し、仕上がりをコントロールできないため、不自然な顔になってしまうことがあります。
医師の技量不足によって顔がパンパンになる
医師がヒアルロン酸注入で狙い通りに仕上げられるかどうかは、医師がヒアルロン酸を適切な層に入れられる技術を持っているか、注入量をコントロールできているかが重要になります。解剖学の知識が不足している医師は、思うように仕上げることができず、つい入れすぎてしまうケースが見受けられます。
ヒアルロン酸は適切な部位の適切な皮膚の層へ、適切な量を入れることできれいに仕上げることができますが、上記のような理由で入れすぎてしまい、結果的に膨らみすぎで顔がパンパンになるケースが多いようです。
パンパンになってしまう「ヒアル顔」にならないための方法とは
当院の例ではありますが、患者さんの思い込みを解いて入れすぎないために、医師やカウンセラーが丁寧に説明を行い、「こんな風に膨らむのは決して美しくはない」「やりすぎて不自然になるのは良くない」と、客観的に見た場合のアドバイスを行っています。事前の診察で仕上がりのイメージを医師と患者さんで共有することも大切です。「ここが気になる」「こうなりたい」と、ご自身の希望を積極的に伝えて、お互いの認識があっているかどうかを確認しましょう。
美しい顔は“黄金比になっている”とよく言われます。この黄金比を守ってヒアルロン酸を注入しても、ちょっとした微妙な違いで不自然に見えることはあります。そのため、診察時には医師からしっかりと治療内容を聞いて、自然な仕上がりを目指すことが大切です。
パンパンになってしまった「ヒアル顔」を治すには?
当院では事前の診察で患者さんと仕上がりイメージを共有し、少しずつ注入しながら自然な仕上がりを目指すため、これまで顔がパンパンになったり、膨らみすぎたりという失敗はありません。
ヒアルロン酸注入で顔がパンパンになってしまった場合、一般的には段階的に以下のような処置が取られます。
ヒアルロン酸注入後の経過観察をする
個人差はありますが、ヒアルロン酸注入後に不自然な腫れやふくらみが落ち着くまで2〜3週間ほどかかります。自然にボリュームダウンして、馴染むのを待つ方法です。
異物反応が出た場合でも、だんだんとマクロファージが働いて半年ぐらいで消える可能性があるため、一番穏やかに解消できます。
ヒアルロン酸溶解(分解)注射で溶かす
注入した部位にしこりができたり、硬くなってしまった場合は、ヒアルロン酸を溶解する酵素を注入してヒアルロン酸を溶かします。一般的に数日〜数週間で徐々に元の状態に戻りますが、ヒアルロン酸溶解注射だけでは溶けない場合もあります。
しこりになったヒアルロン酸をステロイド剤を使用、手術
最終手段には、ステロイド剤を使用する方法があります。ステロイド剤にはしこりの炎症や浮腫を減らす作用があり、症状を改善する効果が期待できます。
傷跡が残ってしまうため、手術によるしこりの除去も最後の手段となります。
パンパンにならずにエイジングケアができる「CPC-PRP®」もおすすめ
顔や首、手背などのシワ・たるみには、再生医療である「CPC-PRP®」もおすすめです。
ご自身の血液由来の製剤を使用するため、アレルギー反応や遅延性のしこりができる危険性も極めて少ない治療です。注入のしすぎで顔がふくらんだり、パンパンになることはなく、自然なエイジングケア効果が期待できます。
銀座よしえクリニックのヒアルロン酸注入のこだわり
当院の理念は“ナチュラルビューティー”です。安全性と自然な仕上がりにこだわっています。
ヒアルロン酸は製造国の認証を受けた製剤を使用
当院では、日本の厚生労働省から承認されたアラガン社のヒアルロン酸と、米国食品医薬品局(FDA)承認のテオシアル社のヒアルロン酸の純正品のみを使用しています。
ヒアルロン酸を生理食塩水で薄めて使用しているクリニックもあるようですが、当院では原液のまま薄めず使用しております。
施術の安全へのこだわり
総院長である廣瀬医師は、アラガン社の初代注入指導医であり、長年の経験と知識を元に安全性を心掛けて施術を行います。
他の医師も注入時に狙った層や位置に注入できるよう、クリニック内に教育システムを設置して勉強会を行いながらプロトコル・マニュアルを定め、技術の向上に努めています。
美しさと自然さをそなえた仕上がりを目指す
ヒアルロン酸注入時には注入量をコントロールし、少量ずつ注入して自然な仕上がりとなるように確認しながら仕上げます。ヒアルロン酸注入では不自然さが出てくるお悩みなどは、「CPC-PRP®」など他の選択肢を提案する場合もあります。
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この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら