老け顔を引き起こす目の下のたるみや膨らみ・黒クマ、その正体は?
目の下のたるみや膨らみは、疲れて見える原因になり、実際の年齢よりも老けて見えることがあります。年齢を重ねても目の下がたるんだり膨らんだりしない人もいるのに、どうしてたるみや膨らみが起きるのでしょうか。
このコラムでは、目の下のたるみや膨らみが起こる原因について説明し、自分でできるケア方法や、美容医療での治療法についてご紹介します。
目の下のたるみ・黒クマとは
目の下のたるみは、目の奥にある「眼窩脂肪(がんかしぼう)」という脂肪が前に押し出されてできたものです。もともと眼窩脂肪は目を守るクッションの役割をしていて、その下には「眼輪筋(がんりんきん)」という筋肉が支えているのですが、加齢などの原因で筋肉が衰えると、眼窩脂肪が前に押し出されて垂れ下がってしまいます。これが目の下のたるみや膨らみの原因になります。
また、目の下がたるんだり、へこんだりすると影ができて黒っぽく見えることがあります。これを「影クマ」や「黒クマ」と呼びます。目の下にたるみやクマがあると、実際より年上に見えたり、疲れていなくても疲れているように見えたり、不健康な印象を与えてしまいます。
目の下がたるむ6つの理由
目の下のたるみの最大の原因は加齢ですが、早くから目の下がたるむ人がいる一方で、年齢を重ねてもたるみを感じさせない人もいます。なぜ目の下がたるむ人がいるのでしょうか。その理由は加齢に加えて、脂肪の付き方や生活習慣に関係があります。
加齢による皮膚の弾力の低下で、目の下にたるみができる
肌の弾力は、真皮層にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの成分によって保たれています。これらの成分を作り出すのが「線維芽細胞」という細胞ですが、加齢とともに線維芽細胞の数が減ると、肌の弾力も失われるようになります。
同時に、年齢とともに皮脂も減るため、肌が乾燥しやすくなり、弾力が低下してしまいます。さらに、紫外線を浴びると線維芽細胞やコラーゲンが壊されてしまい、肌のハリを保つ力が弱くなってしまいます。
目元の筋肉「眼輪筋」が衰えて、目の下にしわやたるみができる
眼輪筋は、目の周りを囲んでいる筋肉で、目を閉じたり、まばたきをしたりするときに動きます。長時間スマートフォンやパソコンを使っていると、まばたきの回数が減ってしまい、眼輪筋や目の周りの筋肉が弱くなってしまいます。
また、電子機器を見ている間は目の周りがずっと緊張しているため、血行が悪くなり、むくみやたるみの原因になることもあります。年齢を重ねると眼輪筋が衰えやすくなり、目の周りにたるみやシワができやすくなります。
眼窩脂肪の量が多く、押し出されて目の下にたるみができる
眼球は「眼窩脂肪」という脂肪に守られていますが、加齢やその他の原因で目の周りの皮膚がたるんだり、眼球を支える靭帯が衰えてくると、脂肪が眼球を支えられなくなり、眼球が少し下に下がってしまいます。眼球が下がると、その下にある眼窩脂肪が前に押し出されて、目の下が膨らんだり、たるみやシワができてしまいます。眼窩脂肪の量には個人差があり、特に男性のほうが多い傾向があります。
摩擦を繰り返すことで、目の下がたるむ
毎日のクレンジングや洗顔でゴシゴシこすると、肌に負担をかけてしまいます。目の周りの皮膚は薄くて乾燥しやすいため、摩擦によって刺激を受けると、新しい細胞を作る力が弱くなり、肌のターンオーバーが乱れることがあります。
また、アレルギーなどで目の周りを頻繁にこすると、肌の細胞が減るだけでなく、皮膚が伸びたり、靭帯や腱膜が緩んでしまうことがあるので注意が必要です。
生活習慣で差がつき、目の下にたるみができる
肌の老化は、生活習慣とも深く関係しています。ストレスや睡眠不足があると、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。また、姿勢が悪かったり運動不足が続いたりすると、血行不良が生じます。タンパク質やビタミンなどの栄養が足りないと、肌のハリがなくなる原因になります。毎日のスキンケアで保湿や紫外線対策が不十分だと、乾燥して、肌の老化を招きます。もしかすると、普段あまり気にしていない生活習慣が、目の下のたるみの原因になっているかもしれません。
今日からできる!目の下のたるみを自力で治す、お勧めのセルフケア
眼輪筋トレーニングで、目元のたるみを予防
スマートフォンやパソコンを長時間使用する人は、目を動かさない時間が多いため、意識的に眼球を動かして、眼輪筋トレーニングしましょう。筋肉は衰えても使えば再び発達するので、眼輪筋の衰えを予防する可能性があります。
目の下のたるみをなくすために、目元のマッサージで血行を促進
目元の血行やリンパの流れを促進させるために、マッサージがお勧めです。目元は皮膚が薄いため、最初にホットタオルなどで目元を温め、マッサージクリームを塗っておきます。マッサージ方法は、手のひらを上に向けて、親指で眉毛の下を軽く押さえながらこめかみに滑らせて、残りの指を頭に置いて全ての指で軽く押さえます。
注意:とにかく肌に摩擦を与えることは禁物です。マッサージの際には、指が触れるか触れない程度の力で行うようにしましょう。
目のツボ押しで目の緊張を緩めて、目の下のたるみ対策
目が疲れていると目の周りの血行も悪くなっています。目の疲れを感じたらツボ押しをすることで疲れの軽減、血行改善効果が期待できます。ツボを人差し指と中指の腹で、左右両方を同時にやさしく刺激してみてください。
注意:ツボ押しの際に摩擦があると色素沈着を起こしてしまい、かえって茶クマを悪化させる可能性があります。肌の上で指を滑らせるような動きは絶対におやめください。
球後(きゅうご)
目尻の少し内側で、骨のくぼんだ部分にあるツボです。目の周りの血行を良くし、たるみ・むくみを防ぎます。
承泣(しょうきゅう)
黒目の真下で、骨の際にあるツボです。目の疲れを和らげる効果が期待できます。
巨髎(こりょう)
黒目の真下から小鼻のラインが交わるところにあるツボです。目の下のたるみを改善したり、血行をよくしたりする効果があると言われています。
太陽(たいよう)
目尻の少し外側で、くぼんだ部分にあるツボです。目の周りの血行を促進して、新陳代謝を促します。
目の下のシワは、目元専用化粧品で毎日のケア
目元は皮膚が薄く乾燥しやすい場所です。洗顔の際には、ゴシゴシ擦らずに目元専用のメイク落としでやさしく丁寧に落としてください。目元のたるみが気になる場合は、化粧水や乳液で保湿するだけでなく、レチノールやナイアシンアミドが配合された目元専用のアイクリームも併用した方がいいでしょう。紫外線対策には、目元専用のUVクリームがあります。お手入れは、力が入りにくい薬指でそっと置くように塗ることで摩擦を防げます。
目の下のたるみの一因、目の疲れをリセット解消
目の疲れは、眼輪筋を衰えさせる可能性があります。眼輪筋が衰えると、目の下がたるむ原因になるため、目の疲れを防ぐことが大切です。
パソコンやスマートフォンを見るときは、画面を目と同じ高さにして、目から30センチほど離して使いましょう。画面の明るさは部屋の明るさに合わせ、30分ごとに遠くを見て目を休めると、目の疲れを軽くできます。休憩をはさみながら使うことがポイントです。
また、アスタキサンチンなど、目の疲れに良い成分を取り、体の内側からケアするのもお勧めです。アスタキサンチンは、鮭などの赤い海産物に多く含まれています。
目の下のたるみ予防のために、生活習慣の見直しを
目の下のたるみだけに限らず、肌のためには正しい生活習慣が欠かせません。バランスの良い食事を取り、外食や間食の時には揚げ物や甘いものの回数を減らすようにことを考えてみてください。適度な運動習慣をつけるようにしましょう。
自力では治らない目の下のたるみ・黒クマには、医療的アプローチがお勧め
このコラムでは、目の下のたるみの原因と、セルフケアを紹介しました。ただし、セルフケアはあくまで予防としては効果がありますが、たるみの症状がすでに進んでいる場合は、効果を実感できるほどの改善は難しいでしょう。また、目の下は皮膚が特に薄いため、間違ったケアや少しの摩擦でもたるみが悪化してしまうことがあります。
もし、たるみの症状が進んでしまっているなら、自己判断せずに美容医療での治療がおすすめです。当院では、患者さんのお悩みに合わせてさまざまな治療方法をご提案いたします。
目の下のシワたるみ治療の症例(ヒアルロン酸注入)

横浜院 50代女性
下眼瞼(下まぶた・目の下)にふくらみがあり段差ができていた患者さんです。
この段差による影が典型的な「影クマ」です。
注入位置・注入量・製剤の硬さを間違えるとチンダル現象を引き起こしたり不自然になりやすい大変難しい症状ですが、周辺の皮膚と馴染ませながら慎重に注入したことでナチュラルに段差が埋まりました。
持続力と柔らかさのバランスの取れたヒアルロン酸テオシアルピュアセンスリデンシティⅡを2cc使用。
費用等に関する事項:当治療は自由診療です。肌質、症状の程度、疾患の種類によって必要な回数や設定が異なるため、当写真と同様の仕上りを目指して治療をする場合、費用も個人差が発生します。
治療等の主なリスク・副作用:皮膚のうすい目元、口元では内出血が起こる可能性があります。打ち方や使用器具によって緩和できますが、それでも発生する可能性はゼロではありません。早くて2~3日、遅くて1週間程度続きますのでお化粧でカバーして頂くことをお薦めします。
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この記事の監修医師
銀座よしえクリニック 総院長廣瀬 嘉恵 医師 医学博士
銀座よしえクリニック 総院長
廣瀬嘉恵医師のプロフィールはこちら